ユビキタスセンシング研究室では、カメラ・センサを用いたセンシングと、得られたデータを用いた技能向上・動作理解に取り組んでいます。
本ページでは、代表的な研究テーマをいくつかピックアップして紹介します。
Featured Projects
1) Clothing-Transparent Motion Capture
衣服の下に隠れた関節を「見る」技術(赤外線×同軸撮影)
ゆったりした服を着ていると、カメラ画像から人の関節位置を正確に推定するのは難しくなります。 私たちは、関節位置を推定するのではなく観測するという発想の転換で、服の下の関節位置を高精度に取得する仕組みを研究しています。
アイデア:
- 関節に近赤外LED(目に見えない光)を取り付ける
- ハーフミラー等の光学系を用いて、RGB画像とIR画像とを同じ視点・同時刻で取得
- 近赤外光は布を透過しやすい性質があります。そのためIR側では関節につけた近赤外LEDが直接見えるため、RGB画像に対して正確な関節位置の教師データを作ることができる
期待できる応用:
- スポーツ動作解析(フォームの定量評価)
- リハビリ・ヘルスケア(関節の動きの計測)
- 高精度な姿勢推定AIの学習データ作成

左は可視画像。LEDは見えない。右はIR画像。LEDが透過して確認できる。
関連する成果:
- 山口貴善, 三上弾, 松村聖司, 西條直樹, 柏野牧夫, ゆったりとした衣服を着用した人物の姿勢推定: HFR カメラと複数 LED を用いた学習データ作成, IEICE-MVE, 2023 MVE賞およびヒューマンコミュニケーション賞受賞
- 北野大志, 松村聖司, 西條直樹, 柏野牧夫, 三上弾, ゆったりとした衣服を着用した人物の姿勢推定 IR カメラと赤外線LED を用いた基礎検証, IEICE-MVE, 2025
2) Data-Driven Evaluation of Batting Timing
実戦データを用いた打撃タイミング能力の定量評価
野球の打撃では,ボールがホームベースに到達するまで速いボールでは約0.4秒程度、一方で遅いボールでは0.6秒程度と様々に変化します。投手はそれをバッターに分からせないように投げ分けます。 打者は投手がボールをリリースしてからボールが到達するまでの間に、軌道を予測し、適切なタイミングでスイングを開始する必要があります。
従来のソフトボールを対象とした研究では、実験室環境において「投球到達時間」と「スイング開始時刻」の関係を各打者ごとに分析し,調整の安定性を評価していました。しかし実際の試合を対象として試したところ,カウント状況や配球戦略などの影響もあり,安定していることが必ずしも良い打撃成績につながるわけではないことが分かりました。
そこで本研究では発想を転換し,
良い結果を生んだタイミングにどれだけ近いか
という観点からタイミング能力を評価する方法を提案しました。
実際の公式戦データ(TrackMan+試合映像)を用いて, 長打が生まれたスイングだけを抽出し,そこから統計的に“理想的なスイング開始タイミング”を定義します。各打者がその理想タイミングからどれだけずれているかを数値化することで,実戦環境におけるタイミング能力を評価します。

理想タイミングからのずれと打撃成績の関係